スーパーカブで日本一周

  523日間に渡ったスーパーカブ90での日本一周の記録、およびその後日談を語ります。

旅人の系譜(最終章) ~三度目の転機、小笠原YHの夜~

北海道での仲間とのキャンプ旅、開陽台の夜に続いて、私の旅人人生で三度目の転機となったのが、小笠原YHでの夜でした。ここで行われた「お別れミーティング」こそが、私を決定的に日本一周へと導いたのです。

会社を辞め、転職活動をしつつ小笠原を訪れていた私は、迷いに迷っていました。一番行きたかった会社は不採用、おさえで何となく面接を受けた別の会社から、東京本土から遥か1,000kmの彼方にある南の果て、母島に居る時に採用の電話がかかってきたのです。しかし、本当にそれでいいのだろうか…
旅の空にあって困惑を極める私を、小笠原YHのお別れミーティングが待っていました。東京本土に戻る船が出港する前夜に行われるパーティーです。
このパーティーで私は旅心の核が揺さぶられ、涙して感動し、遂に日本一周への出発を決断します。
その時の様子は日常ブログの記事に詳しいので、以下にその全文を引用します。





母島から父島へ戻る船の中で、私は迷いに迷っていた。
今後のことである。
小笠原旅行に来る前の3月一杯で職場を辞め、転職しようとしていたが一番行きたかった会社には採用してもらえなかった。それで4月に入っても日にちがあったわけだが、そんな中なんと東京から遥か離れた母島に居る時におさえで面接を受けた会社から採用の電話がかかってきたのだ。
面接を受けてみたものの、本当にその会社に入ってそれでいいのだろうか?という迷いはもちろんあった。

そしてもう一つ、そのこととは別に常に頭の中にあるものがあった。旅への思いだった。
ずっと長いこと、子供の頃からやりたいと思い続けてきた日本一周である。それも、やるとしたら絶対に原付のスーパーカブで行きたいというのがあった。もちろんそうなったらひと月やふた月の旅ではない。最低でも一年の単位で考えなければならない旅になる。
やるなら今しかない。
けれどそれはそれで、やはり本当にいいのかという迷いがある。とりあえず一週間は時間ができた、じゃあ小笠原にでも行ってこよう、というのとは違って、軽々しく決められる事ではないのだ。

父島に戻り、YHで体を休めても尚迷い続ける私を、お別れパーティーが待っていた。
そう、明日はもう船に乗って東京に帰らなければならないのだ。
豪華絢爛とまではいかないが、島の食材を沢山使った温かい手作りの料理の数々がテーブルを埋め尽くした。島のトマトは欧州のトマトのように濃厚でコクがあり、これで作ったパスタソースは絶品。またサワラをヅケにしたものを握る島寿司も小笠原ならではのものだ。
そして一通り飲食が落ち着いたところで、いよいよYH名物の「お別れミーティング」が始まった。

島に伝わる別れの歌は明るい歌で、ペアレントさんが軽やかに歌う。地元の中学生くらいの女の子が島の伝統の踊りを披露しにわざわざやって来てくれた。踊りを乗せる歌は、島で知り合った若い男女が恋に落ち、新婚旅行で小笠原に戻って来るという歌詞だった。
そして圧巻は最後だった。
全員が輪になり、ペアレントさんのギターに合わせて一人一人のニックネームを当てはめた別れの歌を人数の回数だけ歌った。サビの部分で「私の好きな〇〇へ~」となる。細かいところは覚えていないが、この島で出会えたことを感謝する、そしてどこかでまたきっと会いましょう、そんな歌詞だったと思う。

この歌は強烈に私の旅心を揺さぶった。
いや正確にはこの歌が、ではない。この歌を歌っている今、この人達、この集まり、この空間、この場が、こんな場が、こんな世界が、こんな文化があったなんて。
遥か1,000kmの彼方、大海原を隔てたこんな遠くのこんな小さな島で、人と人が出会ってまた別れてゆく。それは何か。どういうことなのか。旅とは…
旅というものの強烈な香りが、風が、核がこのYHのミーティングとこの歌に凝縮されているような気がして、私は眩暈がする思いでとても歌い続けることができなかった。
そして気付くと私は涙を流していた。それは、お別れパーティーの感傷ではもちろんない。感動で魂の核が揺さぶられ、自分でも気が付かないうちに透明感のある涙が頬を滑り落ちていたのだ。

このYHで一番意気投合したコバちゃんに向かって、日本一周の道中で彼の故郷である小豆島を訪れると約束した。
そしてこの一ヵ月後、私はスーパーカブに跨って日本一周の旅に出発することになる。
この夜のYHのパーティーがなかったら、或いはそれはなかったかも知れない。





さて、久々の大型連載となったこの企画に、長々とお付き合い頂きましてありがとうございました。私ビート★の旅人の系譜は以上で、現在に至ります。
最初の章でも書いたのですが、私よりも旅のエリートだと自負する方がいらっしゃいましたら、是非ともご連絡を。一緒に飲みましょう!旅の話を、もっと旅の話を聞かせて欲しいのです…





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Author:ビート★
2009年5月10日、住んでいた部屋を引き払い、250ccのバイクも売り飛ばしてスーパーカブ90で日本一周の旅に出発しました。
道の駅や公園、海辺でテント泊して節約した金を全国の居酒屋巡りと日々のビール代に注ぎ込みつつ、全国を行脚して12月に沖縄に上陸。父親の急病による一時帰郷などを経て、2010年8月3日、念願の日本最西端・与那国島西崎に到達。再び鹿児島からの自走で北上し、2010年10月14日、523日目にして日本一周の旅を完結しました!

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現在、新たな相棒スーパーカブ110を迎え再出発へ向けて準備中です…